精神疾患に対する意識を変えるサービスを提供する:株式会社Medi Face

Medi Faceの事業内容

――どのような事業を展開していますか?

Medi FaceではAIにより表情と音声の分析を行い、精神疾患の早期発見、診断につなげるというサービスです。企業でMedi Faceを導入することで、メンタル不調を早く的確にフォローアップすることができます。

今後は一般の方々にも広く使っていただけるように、一般ユーザー向けのバージョンの開発もすすめ、公開に向けて動いています。将来的には、Medi Faceを通して、うつ病や不安障害などの精神疾患の疑いがある方のオンライン診療の提供も考えています。

――どのようなAIを使っていますか?

バイタルデータを分析するAIが具体的には3つあります。

①Face AI
顔の映像から、約500の特徴点を抽出することで、ユーザーの細かな表情まで、AIによる解析を行っています。例えば、表情筋や瞳の向き、口角の上がり具合といった顔の些細な動きを特徴点から解析し、表情がどのように変化するのか、また表情が変化するまでの時間などを計測して判断します。
また、Medi Faceは、表情の特徴点データのみを取得・解析・保存しているため、匿名性の高いサービスを提供することが可能になっています。

②Voice AI
ユーザーの発話を音声データとして処理し、話し方やイントネーション、トーンなどの情報から感情を推測します。

③Talk AI
ユーザーの発話内容そのものを自然言語処理によって理解し、メンタル状況のスコアリングや、医師の問診のように次にどんな質問をユーザーに提示するかを決めています。

そして、これらのAIによる分析を統合的に判断するAIによってMedi FaceのAIドクターは形成されています。

また、北海道大学病院 医療AI開発センターとの共同研究によって多くのデータを取得し、AIの開発・学習を進めていきます。多くのデータを集めることで、AIを学習させることができ、さまざまなケースのデータが集約されていくことで、医師が見逃してしまうような症状の分かりにくい患者でも早期に察知することを可能にしていきたいと考えています。

Medi Faceを創業した背景

――Medi Faceという事業を行うと決めた理由はありますか?

医学部生として大学病院の精神科で実習している際に、「ITを駆使し、来院前から患者を救えないか。」と考えたことが始まりでした。

心理的ハードルが高く精神科の病院に行くまでの期間が長くなってしまう方や、症状が重く病院にかかれない方も多くいることが課題でした。特に日本の精神科においては、病気の兆候を感じ取ってから病院に行くまでの期間が長いと言われています。

また、現在の精神科においては、「100人の精神科医がいたら100通りの診断がつく」と言われています。それは、医師の経験や知識、勘など定性的なデータに基づいた診断となっているためです。そこで、ITを用いて、医師が見落としてしまう部分を改善できないかと考えました。

――精神科の診療は少なくとも30分以上時間がかかってしまうケースが多いとお聞きしましたが、Medi FaceのAIによる問診でここも改善できそうですね。

精神科においては患者の相談のハードルも高いことや、医師も診療するのが難しいという課題があります。また、患者とのコミュニケーションが難しいケースや、症状が分かりにくいケースなどがあります。

患者は、Medi FaceのAIドクターに匿名で5~10分ほど好きなだけ話してもらい、そこから抽出された問題点を医師に伝達します。AIが最初の問診を行うことで、患者にとっても「悩みをすべて相談できた」と満足度が高くなり、医師としても時間をかけるべきところにかけられ、診察の効率化につながります。これが精神科の診療の当たり前になると思い、開発を進めています。

今後の事業戦略は?

――Medi Faceの今後の展開は?

法人向けのサービスを伸ばしつつ、一般ユーザー向けのサービスを開発しています。

Medi Faceの利用者がそのまま相談できるように、オンライン診療に対応した精神科の病院と連携できるように進めていきます。企業様向けにMedi Faceの導入を進めるためにも、営業を強化する必要があると考えています。

また、大学病院との連携も進めることで、業界トップのAIの精度を目指していきます。

――法人向けにMedi Faceを販売する上で難しい点はありますか?

企業文化に左右される部分もありますが、前例のないサービスのため、Medi Faceの効果をイメージをしていただくことが難しいと感じています。

テスト導入で出た結果や、導入事例によって、メリットを強く押し出せて行けたらと考えています。

Medi Faceのビジョン

――Medi Faceでは、どのような世界を作りたいですか?

Medi Faceを通じることで、”精神疾患”に対する意識を変え、精神科に来院したり、相談をするハードルを低くしたいです。


Medi Faceでは採用も行っています。メディカルチーム、エンジニアチーム、ビジネスチームと分けており、医療の知識がなくても歓迎しています。社内の勉強会でカバーできるとのことなので、ご興味のある方はご連絡してみてはいかがでしょうか。

この記事の企業

精神疾患・メンタルヘルスのAI診断サービス「Medi Face」の開発・運営を行う、北大発スタートアップ認定企業 法人向けに、AIによる5分程度の問診を受けることでメンタルチェックができる「Medi ...